まず一つ目。リボンの“挿入”タブの中に、クイックパーツという機能があります。文書の断片を保存しておき、必要なときに呼び出して再利用する機能です。これを例に、リボンがいかにデタラメに作られているかという点を見てみましょう。
まず、Word を起動して、“aaaa” と入力します。今、入力した文字を選択します。その状態で、このプルダウンメニューをクリックします。
プルダウンメニューを見ると、“選択範囲をクイックパーツギャラリーに保存(S)...”というメニューがありますので、実行します。すると、次のダイアログが表示されます。
ダイアログには“新しい文書パーツの作成”とあります。操作ミスではありません。よく見ると、ギャラリーを選ぶプルダウンの中にクイックパーツとあります。ここをクリックすると、テキストボックス、フッター、ヘッダーなどのメニューが現れます。どうやら、文書パーツの中の一種をクイックパーツと呼んでいるようです。とりあえず、このまま登録してみましょう。
もう一度、このプルダウンメニューを表示させると、先ほど入力したものが、メニューの中に追加されています。やはり、クイックパーツというのは、文書パーツの中の特別なものを意味しているようです。
こうした観察から、クイックパーツと文書パーツの間の関係は、次のようになっていると推定されます。文書パーツがもっとも大きな括りで、その中に、クイックパーツ、定型句があります。文書のプロパティとフィールド※は文書パーツオーガナイザには現れませんので、文書パーツではないと理解するか、変更できない特殊な文書パーツと理解するのが妥当でしょう。
※ この 2つの機能を簡単に説明すると、Excel の関数のような機能で、自動更新される特定の値を挿入する機能です。
このプルダウンメニューの設計自体は ── 文書のプロパティとフィールドを文書パーツの一種と理解するならば ── それほど悪くはありません。問題は、プルダウンに付けられた“クイックパーツ”という名前です、これが“文書パーツ”ならば、まだ許容できます。
リボンインターフェースが採用されてから、機能を探せなくなった人が続出したのは、上位概念から下位概念へ整理されていたメニューを壊してしまったからです。物事を整理して考えるクセがついている人ほど探せません。リボン全体がこういうノリで設計されているようです。
教訓 ── メニューを作るときは、概念をきちんと整理し、上位概念から下位概念へ自然な分類階層を作る。
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