ラベル Windows の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Windows の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年12月9日日曜日

Word の問題点: リボンの不適切な分類

まず一つ目。リボンの“挿入”タブの中に、クイックパーツという機能があります。文書の断片を保存しておき、必要なときに呼び出して再利用する機能です。これを例に、リボンがいかにデタラメに作られているかという点を見てみましょう。

まず、Word を起動して、“aaaa” と入力します。今、入力した文字を選択します。その状態で、このプルダウンメニューをクリックします。

プルダウンメニューを見ると、“選択範囲をクイックパーツギャラリーに保存(S)...”というメニューがありますので、実行します。すると、次のダイアログが表示されます。

ダイアログには“新しい文書パーツの作成”とあります。操作ミスではありません。よく見ると、ギャラリーを選ぶプルダウンの中にクイックパーツとあります。ここをクリックすると、テキストボックス、フッター、ヘッダーなどのメニューが現れます。どうやら、文書パーツの中の一種をクイックパーツと呼んでいるようです。とりあえず、このまま登録してみましょう。

もう一度、このプルダウンメニューを表示させると、先ほど入力したものが、メニューの中に追加されています。やはり、クイックパーツというのは、文書パーツの中の特別なものを意味しているようです。

こうした観察から、クイックパーツと文書パーツの間の関係は、次のようになっていると推定されます。文書パーツがもっとも大きな括りで、その中に、クイックパーツ、定型句があります。文書のプロパティとフィールド※は文書パーツオーガナイザには現れませんので、文書パーツではないと理解するか、変更できない特殊な文書パーツと理解するのが妥当でしょう。

※ この 2つの機能を簡単に説明すると、Excel の関数のような機能で、自動更新される特定の値を挿入する機能です。

このプルダウンメニューの設計自体は ── 文書のプロパティとフィールドを文書パーツの一種と理解するならば ── それほど悪くはありません。問題は、プルダウンに付けられた“クイックパーツ”という名前です、これが“文書パーツ”ならば、まだ許容できます。

リボンインターフェースが採用されてから、機能を探せなくなった人が続出したのは、上位概念から下位概念へ整理されていたメニューを壊してしまったからです。物事を整理して考えるクセがついている人ほど探せません。リボン全体がこういうノリで設計されているようです。

教訓 ── メニューを作るときは、概念をきちんと整理し、上位概念から下位概念へ自然な分類階層を作る。

2012年5月8日火曜日

Windows はなぜ使いにくいのか?

Windows は使いにくい。Windows 8 がまもなく登場するが、このことはどうにも直りそうもない。現在、Windows に影響された開発者によって設計された、使いにくいシステムが乱造され、社会に害悪が撒き散らされている。普段から Windows を使っていれば、そのひどさに気付くことができないまま、システムを設計してしまうからだ。開発者は Windows を使うべきではない、というのが私の信念である。

Windows がもっともだめな点は、メンタルモデルが形成しにくいところにある。メンタルモデルとは、ユーザの頭の中にある「こいつはこういう動きをする」というモデルである。ユーザは、そのモデルに基づいてシステムの動きを予測し、操作する。メンタルモデルは、実際の仕組みと一致している必要はなく、ユーザ独自の世界観でかまわないが、外部から観測可能な振る舞い(こういう操作をしたら、こういう結果になる)は一致している必要がある。ユーザは、システムを使いながらメンタルモデルを獲得し、システムに馴染んでいく。ユーザの予測を裏切らないことが、「使いやすさ」の必要条件の一つである。

具体的な例を見よう。C:¥Program Files の中にあるアプリケーションのアイコンを、デスクトップにドラッグ&ドロップしてみる。手近にあった Safari で試してみる。

Explorer でのドラッグ&ドロップは、通常はファイルの移動である。これがユーザが最初に獲得するメンタルモデルである。アプリケーションをドラッグ&ドロップすると、デスクトップにショートカットが作られるというのは、メンタルモデルに反する極めて奇妙な振る舞いであるが、とりあえず、Windows はそういうものだと納得するしかない。これが、Windows を使い続けて、少し修正されたメンタルモデルである。

次に、TeraPad のアイコンを、デスクトップにドラッグ&ドロップしてみる。

今度は、移動になる。私は、メンタルモデルに従って、ショートカットが作成されるものと期待していたにも関わらずである。一体、いかなる違いによって、このような振る舞いになるなのか、全く理解不能である。もちろん、何か理由はあるのだろうが、多くのユーザがそれを理解し、メンタルモデルを修正することができるのだろうか? 仕方がないので、アイコンをドラッグして、出てくる「移動」や「リンクを作成」のメッセージに頼ることになる。つまり、事前に結果を予測することはできず、「やってみるまで何が起こるか分からない」のである。

では、最後に、C¥Program Files¥Safari フォルダの中にある、すべてのファイルやフォルダを選択し、デスクトップにドラッグ&ドロップにしてみよう。どうなるだろうか。私のメンタルモデルに基づく仮説は「アプリケーションはショートカットが作成され、その他のファイルやフォルダは移動される」である。実際にやってみたところ、なんと Safari のアプリケーションを含めて、すべてのファイルとフォルダが移動された。もはや、メンタルモデルどころの話ではなくなっている。

なぜ「移動」で一貫できなかったのか、甚だ疑問である。Windows には、このように「場当たり的に」作られた機能が数多くあるのだ。場当たり的であるが故に、メンタルモデルが継ぎはぎだらけになってしまう。これこそが Windows の使いにくさの原因である。

(不定期に続く)