地デジ完全移行 2年前である 2009年 7月 24日を過ぎました。ここらで、一旦現在の状況をおさらいすることにしました。
地デジの陰に隠れた真の狙い
地デジ移行の真の狙いは、貴重な電波帯域である VHF帯や UHF帯の一部を、テレビ以外の他の用途 (例えば、高速モバイルインターネットサービス) に振り向けることです。これは、移動体通信がさらに重要になるであろう今後のことを考えると、大変価値のあることです。テレビ放送のデジタル化は、これを実現するための手段にすぎません。テレビ局にアナログ放送とデジタル放送の両方の設備を負担させていること、および電波帯域再配分ができなかった時の国際競争力低下を考えると、完全移行を行わないとか延期するという選択肢はありえないと言っていいでしょう。あらゆる手段 (無料チューナーバラマキとか) を用いて、移行することになります。
デジタルコンテンツの著作権保護
デジタル化されることにより、コンテンツのコピーが簡単なので、コンテンツの保護が必要になります。ですが、現状の方式は、視聴者の利便性低下 (要するに自由に録画ができない) を招いていること、コンテンツ保護の方式が B-CAS 社一社の独占状態にあることなど、重大な問題が指摘されています。2008年 7月 4日からダビング10制度が開始されましたが、実質的にあまり意味のない制限緩和でした。
元々、B-CAS 方式によるコンテンツ保護は、カジュアルコピーを防ぐことを目的としているものの、フリーオなどコンテンツ保護機構を無視する機器が販売されるに至り、B-CAS によるコンテンツ保護は事実上無効化されています。国産の一部の製品でも、コンテンツ保護機構を無効化する方法などが知られています。総務省は高まる批判を受けて、B-CAS カードの小型化、チップ化、ソフトウェア実装方式の採用などを打ち出していますが、根本的な解決に至っていません。
なお、総務省はこの問題についてのパブリックコメントを実施中です (8月 28日 17:00 必着) 。パブリックコメントの案を見る限り、B-CAS は存続させ、無反応機への B-CAS カードの供給を絶つ、という方針のようです。もはや、B-CASカードをインターネットで共有する技術が確立されており、無反応機では B-CASカードは無用の存在です。このような措置に何の意味があるのでしょう? B-CASカードもカードリーダも無料ではないので、無意味なものに金を払わさせる消費者の立場はすっかり無視されています。
私の移行状況
地デジ視聴については、昨年地デジ対応テレビを購入し、既に移行済みです。私の居住地では、電波が弱いことがあり、新たにブースターが必要になりました。
地デジ録画については、移行方法検討中です。一度、地デジ対応の HDD レコーダを購入したものの、コピーワンスが重大な問題になり、デジタルでの録画を諦めました。私の場合、録画したものは、CM カット編集、iPod touch 対応再エンコードおよび大容量 HDD による集中保管の 3点を満たす必要があります。リムーバブルメディアによる保存は断固拒否です。メディアで部屋が散らかってしまいます。これはライフスタイルの問題なので、譲れません。
地デジ録画は、フリーオを真剣に検討しています。別に、権利者の著作権を侵害しようという意図はまったくなく、著作権法に定める私的利用を目的とした複製権の範囲内で、私のライフスタイルに合った視聴環境と保存環境を確保したいだけです。上記三点が満たされるのなら (例えば iTunes Music Store で番組が販売されるとか) 、私はそれで十分満足します。