マンガ週刊誌の紙質は皆様ご承知の通り、若干アレな感じです。自炊したいと思ったところで、これを白黒 2階調でスキャンすると、とても読めるクオリティにはなりません。かと言って、カラーでスキャンするのも少し引っかかるところがあります。
要するに、カラーでスキャンすると左のような感じですが、仕上がりはグレースケールで、右のような感じにしたいのです。
※ 引用: ハヤテのごとく! 293話 chAngE
これを Automator でやってみましょう。とりあえずカラーでスキャンし、それを Automator でグレースケール化すればよいのです。
Quartz フィルタを作る
この処理では、Quartz フィルタを使います。Automator を動かす前に、ColorSync ユーティリティでフィルタを作ります。ColorSync ユーティリティは、“アプリケーション” フォルダの中の “ユーティリティ” フォルダの中にあります。起動すると、以下のようなウィンドウが表示されます。表示されない場合は、“ファイル” メニューから “新規ウィンドウ” を実行し、“フィルタ” のアイコンをクリックしてください。
ウィンドウ下部の “+” ボタンを押して、新しいフィルタを作ります。フィルタの名前の入力を求められますので、適当な名前を付けます。この例では、“Gray Tone (Comic Books)” と入力しました。
フィルタの機能を決めます。右側の黒い丸の中に下三角のアイコンをクリックするとメニューが出てきます。このメニューを使って、以下の 3つの画像処理を追加します。
- “カラー管理コンポーネントを追加” の中のサブメニュー “プロファイルの割り当て” を実行し、現れたポップアップメニューから、一般グレイガンマ 2.2 プロファイルを選択します。
- “カラー管理コンポーネントを追加” の中のサブメニュー “中間変換” を実行し、現れたポップアップメニューから、彩度を選択し、スライダーを一番左 (彩度ゼロ = グレースケール) に設定します。次に、その右側の + アイコンをクリックし、もう一つの変換を追加します。現れたポップアップメニューから、明度を選択し、明度のスライダーを下のように設定します。この設定は、よく分かっていないのですが、おそらく左のスライダーから、シャドウ、中間、ハイライトの各領域の明度を変えるものと思います。これによって、微妙な紙質の影響を受けてグレーになっている部分を白または黒の方向に寄せます。
- 最後に、“イメージ管理コンポーネントを追加” の中のサブメニュー “イメージの圧縮” を実行し、モードを JPEG 、品質を中間くらいに設定します。
作成したフィルタは、以下のようになります。
設定が完了したら、ColorSync ユーティリティを終了します。なお、作成したフィルタは ~/Library/Filter/ に保存されています。
Automator でサービスを作る
次は、Automator でサービスを作ります。このサービスは PDF ファイルを受け取ることとします。“Finder 項目をコピー” と “Quartz フィルタを PDF 書類に適用” の 2つのアクションを下のように配置します。 “Quartz フィルタを PDF 書類に適用” のフィルタのポップアップは、先ほど作成した “Gray Tone (Comic Books)” に設定します。
ワークフローを保存します。“PDF をグレースケール化 (Comic Books)” などと名前を付けておきましょう。
使い方
まず、ドキュメントスキャナで、カラー設定でスキャンし、PDF ファイルを作成します。再エンコードするので、なるべく低い圧縮率を選択し、ノイズが乗らないようにした方がよいでしょう。
Finder でグレースケール化したい PDF ファイルを選択し、control キーを押しながらクリック (または右クリック) すると、先ほど保存したサービスが選べますので実行します。そのファイルがデスクトップにコピーされ、グレースケール化されます。
サンプルで使用したオリジナルのファイル (合計 16ページ) は 24.5MB 、出来上がったファイルは 12.3MB でした。
色々と試してみて、お好みの設定を探すのがよいでしょう。マンガ週刊誌以外の本にも、応用の効くワークフローです。